農薬によってミツバチが消える?!
こんにちは、新潟産こしひかりHIBARIの吉田です。
今回は環境問題から生物多様性と農業の問題を紹介していきたいと思います。今回はお米ではなく、農業で使用されている農薬についてのお話です。
みなさんは「ネオニコチノイド」をご存知ですか?
これは1990年頃から使用されるようになった殺虫剤です。この殺虫剤には昆虫の神経伝達を阻害する効果があり、さまざまな害虫に効果があるため、現在でも様々な場面で使用されています。
ネオニコチノイド系農薬とミツバチ
同時期1990年、ヨーロッパではある問題が勃発していました。それはミツバチの大量死や数の減少が発生するというものです。
この現象は、蜂群崩壊症候群(ほうぐんほ うかいしょうこうぐん:CCD)とよばれていますが、2010年現在、米国、カナダ、中南米、インド、 中国、日本などにも広がっています。
原因については、地球温暖化によるダニなど病害虫の増加、森林伐採による生息地や蜜源となる花の減少、それにともなう栄養不足、ウイルス感染の拡大、そして、人間の都合で家畜化された こと、蒸し暑いビニールハウスなどで農作物の受 粉に酷使されるストレスなどがあげられきました。
しかし、現在ではネオニコチノイド系農薬の影響が原因として有力とされています。
ネオニコチノイド系農薬とは
ネオニコチノイドの特徴は、①浸透性、②残効性、③神経毒性で、ミツバチを含む昆虫類、生態系、さらに人への影響が懸念されています。
浸透性
従来型の農薬は、散布すると葉の表面に付着するイメージですが、ネオニコチノイド系は水溶性であり、葉や茎や根から吸収されて、葉や実や花粉など植物全体に農薬成分が行きわたります。そのため、野菜や稲の液を吸う虫はダメージを大きく受けますし、それは、蜜や花粉を口にするミツバチも同様なのでしょう。しかし、考えてみるとそのような農薬の場合には、洗うだけでは減らすことがあまりできず、人の安全性という面でも疑問が高まります。
残効性
残効性とは、例えば最近の米づくりでは、苗を植える時に育苗箱用の農薬を使用しますが、その時にネオニコチノイド系農薬を使用すると、長く効くため、田植え後にわざわざ農薬をまく手間が当分省けるのです。このことは、コストを抑えたり、高齢化や人手不足に悩む農家にとっては、ありがたい農薬という側面もあるようです。しかしながら、こうなると、消費者の立場では、そこで使われている農薬の中身まで気になり始めます。そもそも残効性が高い、ということは人が食べる時点でも残っている可能性が高い、ということを意味するでしょうから、その面からも不安に思われます。
神経毒性
ネオニコチノイド系農薬は昆虫の神経伝達を阻害することで殺虫効果を発揮している。
そのため、ミツバチにも影響が出ないとは限りません。実際にミツバチが益虫として使用されている場面でもダニ等の寄生虫や害虫を殺虫するために、農薬が使用されています。
そんな農薬を使用されたミツバチは、ミツバチが正常に巣に戻れなくなるなどの影響が挙げられます。巣にもどれなくなるのは、成虫の脳を直撃するネオニコチノイドにより方向感覚、帰巣本能がおかしくなるためです。他に、ミツバチの減少の原因として、汚染された花粉や蜜を食べた幼虫の脳の本能行動が正常に発達しないなどミツバチの発達障害も見られます。
ネオニコチノイド系の農薬は人間に対して全く影響がないとは言えないのです。そして、農業で使用される農薬だけでなく、家庭用殺虫剤や建設系資材にも使用されています。知識を身につけ、一人一人が考えることで変わることがあるかもしれません。HIBARIは環境配慮を考えて、地球に優しい農業を考えていきたいと思います。
参考資料
http://kokumin-kaigi.org/wp-content/uploads/2011/03/Neonicotinoid2012-11.pdf