夏の大仕事、農家さんの努力で美味しいお米を作る溝切り。
こんにちは、新潟県産こしひかりHIBARIの吉田です。
暑い日が続き、野外での活動が大変な時期になってきました。
お米農家さんがイネを育てるにあたって一二を争うほど大変な作業と言われている田んぼの溝切り。
文字の通り田んぼに溝を作る作業なのですが、これがかなりの重労働と言われています。
ただ、必ずやらなくてはいけない作業かと言われると、実は溝切りをやらない米農家さんもおり「溝を切る意味がない。」と言っている方もいらっしゃいます。
ただ、溝切りはお米を美味しく育てるにあたって必ず必要な作業という農家さん方が圧倒的多数となります。
今回はそんな田んぼの溝切りについて必要性や理由などを「溝切り」とはセットの作業である「中干し」と一緒に説明していこうと思います。
中干し、溝切りの目的、メリット
有毒なガスを抜き、根を活性化
土中にたまった”根腐れ”のもととなる有害ガスの硫化水素、メタンガスなどを抜いて補給してやることで、根を活性化させることができます。
根腐れとは?
根が黒褐色に腐り,酷いと地上部まで枯れてしまいます。
天候条件が暑いと,発生しやすくなります。
土の内部が黒い,臭い匂いがする,泡やガスが出るなどはその兆候です。
過剰な生育を抑え、無効分げつを抑制
この時期の稲はぐんぐんと成長し、「分けつ」と言って種子から出た茎の根元から新しい茎が出てきます。
しかし、分けつが進みすぎると実の数が増えすぎ、1粒1粒に行く栄養が少なくなってしまいます。
そのため、水を抜くことで一時的にチッソ吸収が止め、分げつを制限する事によって、モミの実入りを充実させる効果があります。
また、成長をストップさせることで、秋口に大きくなりすぎずに倒伏してしまう稲も減らすことができます。
水捌けの向上
土壌を固くすることで、田面の水はけが良くなります。
また秋のコンバイン作業がしやすくなります溝切りを行うことで、水が溝へむかうため水たまりができづらくなり、排水・中干しがスムーズに水管理の作業を行うことができます。
水捌けが悪いまま秋にコンバインを使用した際抜かるんでしまい、手刈りすることになることもあります。
このように溝切りには多くの効果があり、溝切り1本で1斗(15kg)の増収を狙えるほど溝切りは影響があると言われています。
溝きりの大変さ
デメリットはがあるとすれば溝切りがかなりの重労働だということです。
昔は石のブロックや角材を柔やかい田んぼの中、人力で引いて溝を作っており、相当な重労働でした。
現在では専用の機械、「溝切機」を使用している農家がほとんどです。
手押しで軽いタイプのものもありますが、完全に力仕事なので、圃場全体を回るため、重労働です。
小さい田んぼや、動力溝切り機の補助的なツールとして使われています。
手押しでエンジンが付いているものもあり、進む動力が得られますが、湿田を歩いて回る大変さが残ります。
ぬかるみで機体を引き上げたり、乾燥気味のところは押し付けて溝を切ったりと、まっすぐ深く溝を切るのは技量が必要です。
今回、私自身も実際に乗用溝切り機を使って溝切りを行ってきました!
全部で5反分の田んぼを2人で行ってきました!
2人とも初めての作業ということもあり、苦戦しながらの作業になりました。
今回、使用したのはエンジン付きの乗用溝切り機です。エンジンがついており、バイクのように跨って溝を切りながら進んでいくものになっています。
駆動が付いているため、手押しタイプよりは作業が軽減されてはいますが、これがまた大変でした。
ぬかるむ田んぼは重い機械にまたがり一本溝を作るだけで汗が吹き出し、機械を抱えて方向転換させるだけで力のいる作業でした。
なんとかヒーヒー言いながら溝切りを終え、溝に水が流れた時の達成感はやって良かったなと思えるものでした。
今後の本格的な夏に向けて強く美味しくお米が育ってくれることを期待し、これからもお米を見守っていきたいと思います。
実際に作業をやってみて暑い中での作業になることも多く、日頃行っている農家さんには熱中症には気をつけていただきたいと実感しました。