田んぼにトンボが集まるのは、自然にやさしい証拠

こんにちは、新潟産こしひかりHIBARIの都木です。
稲がすっかり大きくなった夏の終わりごろから、田んぼにトンボの姿を見かけるようになりました。

このトンボたち、なぜ田んぼに集まるか知っていますか?
童謡「ゆうやけこやけ」でも歌われるほど昔からある日本の風景ですが、トンボと田んぼ、そして農薬や化学肥料には密接な関係があるのです。

トンボが田んぼに集まるのは、産卵して子孫を残すため

トンボという名前は、田んぼで生まれて田んぼで飛ぶから「飛ぶ田んぼ」、それが変化してトンボになったと言われるくらい、トンボは田んぼと密接な生き物です。

春の終わりに田んぼに水が入ると、去年の秋に産んだ卵が孵化して幼虫のヤゴとなります。ヤゴは水中で成長し、稲が大きく育ってきた夏の初めに稲の茎につかまって羽化してトンボとなります。
そして、秋の実りの時期に田んぼに戻ってきて、水田の水たまりに産卵します。泥の中でトンボの卵は冬を越し、春に水が張られるのを待ちます。
トンボは田んぼの一年に合わせてうまく生活している生き物なのです。

トンボが飛ぶと、農家もうれしい

あまり知られていませんが、トンボは幼虫(ヤゴ)も成虫も肉食で、水田や稲に付く草食の害虫類を主食に育つというまさに米づくりの益虫です。
トンボの顔をインターネットなどで探すと、結構迫力ありますよね。

水中で育つトンボの幼虫(やご)は害虫であるイエカの幼虫ボウフラを水中で食べて成長し、小型のトンボ類の成虫はイネの害虫のウンカを好んで食べます。
そのため、農家もトンボを駆除したり追い払ったりはしません。トンボは農家にとって大きな味方なのです。

農薬と化学肥料を減らせば、トンボが増える

「ゆうやけこやけ」の童謡で有名な赤トンボをはじめとしたトンボたちは、稲穂が垂れる秋頃に田んぼや湿地など水がある場所で産卵して、次世代の子孫を残します。

しかし、その数は現代の農業に欠かせない農薬と化学肥料により明らかに減少しています。水田に農薬が撒かれれば、トンボの餌となる虫と同時に水中で育つヤゴは息絶えてしまいます。農薬により過去20年間で1000分の1まで激減したとも言われています。
国立環境研究所が発表した記事では、一般的に慣行農業の稲作で利用されている「ネオニコチノイドなど浸透移行性農薬」がトンボにマイナスの影響をもたらすことが科学的に明らかになっています。

実験水田を用いた農薬の生物多様性への影響評価
〜浸透移行性殺虫剤がもたらすトンボへの影響〜

https://www.nies.go.jp/whatsnew/2016/20160316/20160316_2.html

今でも農薬や化学肥料に頼りすぎない農家の田んぼでは、トンボたちが元気に飛んでいる姿を見ることができます。
トンボがいるたくさん集まる田んぼは、自然にやさしい田んぼと言えるかもしれません。
わたしたちのファーマーズセレクトも、未来のトンボたちにやさしくあることを目指しています。